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食の安全コラム

提供:社団法人日本能率協会

2010/12/22更新

食品安全監査の新潮流、GFSI、FSSC22000とは

今年の夏頃からISO認証機関にGFSIやFSSC22000についての問い合わせが突然舞い込んでくるようになってきました。
我々にとっても聞きなれない言葉であり、調査をはじめましたが、わずか数ヶ月の間に、食品業界、特に原材料メーカーにとって、自社の食品安全体制に大きな影響を及ぼしかねないキーワードとなってきました。
今回は、食品業界の大きな話題であり、一部では不安や混乱も生じているGFSI、FSSC22000について解説します。

GFSIとは、Global Food Safety Initiativeの略で、ベルギーで設立された非営利組織です。
その目的は、消費者に安全な食品を確実に提供するために、GFSIに関連する小売り・メーカー・検査機関・行政などが協力し合って食品安全マネジメントシステムを継続的に改善させることにあります。
このため、GSFIは、世界中の食品安全に関する認証の仕組みと認証規格をベンチマーク(GFSIのガイダンス文書に照らし合わせること)し、適合した食品安全管理標準規格をGFSI承認規格としています。
食品メーカーにとってのメリットは、GFSI承認規格の認証を受ければ、工場監査の回数を減らせることです。一方の小売業サイドのメリットは、工場監査のコスト削減や、精度の統一が可能であるという点です。
欧州では、このGFSI承認規格の信頼度が高くなっています。

GFSI承認規格にはBRC、Dutch HACCP、FSSC22000、International Food Standard 、SQF2000レベル2などがありますが、中でも現在、日本で話題となっているのが、FSSC(Food Safety System Certification)22000です。
FSSC22000は、EU食品飲料業界連合会(Confederation of the Food and Drink Industries of the European Union:CIAA)の支援を受けているFFSC(Foundation for Food Safety Certification)が開発、運営している規格、スキームです。その内容を一言で言えば、ISO(International Organization for Standardization)が開発・運営するISO22000と、英国規格協会(British Standards Institution:BSI)が開発したPAS220を統合した規格となります。
なお、現在は「ISO」からもPAS220と同内容のISO/TS22002-1(食品安全のための前提条件プログラム 第1部:食品製造)が発行されています。2010年11月29日付のFSSC22000ウェブサイトでは、ISO/TS22002-1とPAS220は要求事項が同じであったことから、どちらを参照しても良いとしています。



2005年に発行された「食品安全マネジメントシステム」ISO22000は、わが国では一定の普及が見られています。FSSC22000は、このISO22000の弱い部分を補強し、より強化された規格として開発された背景があります。
それでは、FSSC22000で強化された部分とはどこでしょう。
それは、ISO22000の7.2.3項で求められている前提条件プログラム(Prerequisite Programme :PRP)、いわゆる一般的衛生管理手法の部分です。前述したPAS220とISO/TS22002-1が、このPRPを詳細かつ具体的に示した規格なのです。なお、ISO/TS22002-1はISO22000規格とあわせて使用する規格であり、独立して使用されることを意図していません。

下表で、日本の「総合衛生管理製造過程承認制度」と、ISO22000の「7.2.3PRP」、PAS220(ISO/TS22002-1)を比較してみました。
PAS220(ISO/TS22002-1)の要求事項4〜13はISO 22000のPRPに該当する内容ですが、14〜18は追加された独自の内容となっています。
ISO/TS 22002-1は、食品製造業向けに制定された規格ですが、今後、その他のフードチェーンに関するPRP規格のバリエーションが増えていくことが予想されます。

「総合衛生管理製造過程制度」
要求事項
「ISO 22000」の「7.2.3PRP」
要求事項
「PAS220(ISO/TS 22002-1)」
要求事項
・施設設備の衛生管理
・施設設備、機械器具の保守点検
・使用水の衛生管理
・排水及び廃棄物の衛生管理
・食品等の衛生的取り扱い
・鼠族昆虫の防除
・従事者の衛生管理
・製品の回収方法
・製品等の試験検査に用いる機械器具の保守点検
・従業員の衛生教育
a)建物及び関連設備の構造と配置
b)作業空間及び従業員施設を含む構内の配置
c)空気、水、エネルギー及びその他のユーティリティの供給源
d)廃棄物及び排水処理を含めた支援業務
e)装置の適切性、並びに清掃・洗浄、保守及び予防保全のしやすさ
f)購入した資材、供給品、廃棄及び製品の取り扱い
g)交差汚染の予防手段
h)清掃・洗浄及び殺菌・消毒
i)有害生物の防除
j)要員の衛生
k)適宜、その他の側面
4 建物の構造と配置
5 施設及び作業区域の配置
6 ユーティリティ − 空気、水、エネルギー
7 廃棄物処理
8 装置の適切性、清掃・洗浄及び保守
9 購入材料の管理(マネジメント)
10 交差汚染の予防手段
11 清掃・洗浄及び殺菌・消毒
12 有害生物の防除(ペストコントロール)
13 要員の衛生及び従業員のための施設
14 手直し
15 製品リコール手順
16 倉庫保管
17 製品情報及び消費者の認識
18 食品防衛、バイオビジランス及びバイオテロリズム

食品メーカーにとって、いかなる規格を導入するとしても忘れてはならないことは、自社の責任範囲のハザードをどこまで真剣に管理していくかで決まります。
新しい規格を導入、新たなFSMSを構築したからと言って安全な製品が魔法のようにできるわけではありません。
どの規格がよいかという議論の前に、自分たちの組織を内部・外部から見つめなおして、どういう目的で新しい規格を導入するのかよく考えてから取り組むことが重要となってきます。
すでにマネジメントシステムが導入されている場合や他の食品安全システムがある場合などは、特にダブルスタンダードにならないようにすることが肝要です。
“2兎を追うものは1兎をも得ず”になってはなりません。

なお、今回のFSSC22000の認証は、当センターでも開始予定です。
詳しい情報が必要な場合は、社団法人日本能率協会 審査登録センター CS・マーケティング部(TEL 03-3434-1446)までお問い合わせください。

このコラムを小会が担当させていただくのは、今回が最後となりました。2年間にわたるご愛読、ありがとうございました。

以上

執筆者プロフィール

徳永  均

社団法人日本能率協会  |  審査登録センター  FSMS技術部長

◆経歴
日本獣医畜産大学農獣医学部卒業後、乳業メーカーにおいて・・・続きを読む

本コラムは、社団法人日本能率協会より提供いただいております。

■社団法人  日本能率協会  プロフィール
経営革新の推進機関として60有余年。能率を「あらゆる経営資源のもつ能力と特性を最大化すること」として捉え、時代に先駆けるマネジメント技術の開発、人材の育成・強化などのサポートはじめ新たな課題解決にもお応えしています。

 
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