2008/03/26更新
【腸管出血性大腸菌O157】
腸管出血性大腸菌O157とは
ヒトや動物の腸管内、あるいは食品や河川等の自然界に広く分布する大腸菌の多くは病原性を示しませんが、一部の大腸菌がヒトに腸炎を起こすことが認められました。中でもその病原性の強さから世界的に注目を浴びているのが、この腸管出血性大腸菌O157です。なお、O157というのは菌を分別する手法としての血清型別のことで、100種類近くのO型血清型別のうちO157が特に世界的に発生が多く、日本においても発生が多いのはO157、ついでO26、O111となっています。
腸管出血性大腸菌は熱には弱いものの、低温や酸性には強く、水の中でも長期間存在し、少量の菌(数百個程度)を摂取しても発症するという特徴があります。腸管出血性大腸菌は毒力の強いベロ毒素を産生し、溶血性尿毒症症候群等の合併症を引き起こします。また、潜伏期間が4〜8日と他の食中毒菌と比べると非常に長いため、原因食品や感染源の特定が大変難しい菌です。
腸管出血性大腸菌O157は、ソルビトール非あるいは遅分解性であり、SIB培地上では大腸菌の多くはソルビトールを分解して桃赤色のコロニーを形成するのに対して、本菌は本培地上では無色のコロニーを形成します。
食品衛生法での規格基準
少量の菌数で発症することから、検査方法も増菌培養後または免疫磁気ビーズで集菌後イムノキットやPCR法を使用して、遺伝子の確認を行うことが望ましく、精度の高い定性試験(いるかいないか)が求められます。
実施の意味
少量の菌で発症するため非常に感染力が強いこと、また原因食品が畜産食品のみではなく、野菜や水産物に関連する食品も原因食品となっているため、
一次汚染のみではなく、製造工程での二次汚染も疑われるため注意が必要です。
ちょこっと話
わが国におけるO157食中毒は、平成8年のカイワレ大根、平成10年のイクラを原因食品とする事例が記憶に残るものではないでしょうか。
なお、O157については世界的にも検査法の開発が進んでいますが、O26についても昨年公定法が確立されました。
写真1:SIB寒天培地上のコロニー