2008/03/26更新
【リステリア】
リステリアとは
リステリアは自然界に広く分布し、健康な動物やヒトの腸内にも正常細菌叢の一つとして生息していますが、本菌による食中毒の原因食品としては、ナチュラルチーズ、食肉加工品、野菜サラダ等があげられます。菌の性状は、グラム陽性、通性嫌気性、芽胞非形成の短桿菌で、20℃〜30℃で培養した場合鞭毛が発育し、運動性を示します。また、発育至適温度は30〜37℃ですが、4〜5℃でも増殖できる低温細菌の一種です。なお、本菌のパルカム培地上でのコロニーは、灰緑色で中央は窪み、周辺に黒色のハローを形成します。
現在、リステリア属は6菌種確認されていますが、このうちヒトのリステリア症の原因となるのはL.monocytogenesのみと考えられており、新生児、70歳以上の高齢者、免疫力が低下している人がかかりやすく、妊婦に感染した場合には重篤な疾患となり得ます。潜伏期間は24時間〜数週間と幅が広く、症状としてはインフルエンザ様の高熱、悪寒、嘔吐を発症し、重症になると脳脊髄膜炎、意識障害や痙攣を起こします。妊婦の場合母体自体は軽症であることが多いですが、感染した母体から胎盤を介して胎児に感染し、早産、流死産や胎児敗血症、また新生児髄膜炎や新生児敗血症の原因となります。
食品衛生法での規格基準
わが国では、加熱せずにそのまま食べるナチュラルチーズや食肉製品からL.monocytogenesを検出した場合は食品衛生法第6条に従い、輸入や販売などを禁止するなどの措置がとられる場合があります。国によって規格は異なり、検出してはならない、もしくは100/g以下とされています。
実施の意味
アメリカでは、毎年2500人がリステリア症となり、そのうち約500人(食物由来の感染症で死亡しているうちの約10%にあたる)が死亡していると推定されています。わが国での事例はほとんどが散発事例ですが、欧米とほぼ同等のリステリア症の発生および食品の汚染があるものと報告されています。
ちょこっと話
リステリアの発症菌量は不明であり、宿主の健康状態により個人差があるものとされています。なお、2001年北海道で起きた集団事例では、原因食品(ナチュナルチーズ)の汚染菌量は100gあたり9.3×108MPNとの推計が報告されています。
写真1:パルカム寒天培地上のコロニー