2008/06/25更新
今月の食の安全トピックス〔6月号〕
品質管理プログラムを提供する消費経済研究所が、最近起きたトピックス・食品事故・事件の中より、
注目する内容をピックアップし、お知らせします。リスク管理対策としてお目通しください。
JAS法に基づく改善命令等2件(農水省)
| 1) |
改善命令:手延べそうめん等の不適表示の改善(6月6日)
販売先から返品されたそうめん、葛きりを再包装し、最初の出荷時と同じ期間の賞味期限を表示して再販売したことは、事実と異なる期限日の表示で、加工食品品質表示基準で禁止する「内容物を誤認させる表示」に当たるとして、農水省から改善命令を発出。2002年に製麺地の不適正表示で改善指示を受けていた最中の行為(7年前から)で悪質として「命令」の形がとられた。 |
| <備考> |
| |
表示の賞味期限:そうめん1年6ヶ月、葛きり2年。メーカーは実質期限3年半のそうめんに、1年半の表示をしており、品質を確認し再包装して1年半の期限を表示しても、トータルで期限を越えないため問題はない、業界慣習との意見を表明。しかしこの事は逆に科学的・ 客観的根拠に基づいていない期日を製品個々に表示することになり、表示の信頼性を損なう不適正な表示であるとして、JAS法の体系では受け入れられない。 |
| 2) |
改善指示:鮮魚の原産地(6月5日)
昨年4月から本年3月まで、中国、韓国産のタチウオ、ぶり、アンコウなどを国産(長崎、福岡県産など)表示していたとして改善指示。 |
| 上記いずれも農水省のHPに詳述されています。 http://www.maff.go.jp/j/jas/index.html |
かに、えびのアレルギー表示義務化が告示されました。(厚労省 6月3日)
6月3日食品衛生法施行規則が改正され、「えび」と「かに」がアレルギー表示義務対象食品に指定されました。
施行:2008年6月3日 猶予期間2年間(2010年6月3日までに製造、加工、輸入された食品が猶予の対象)
<改正内容>
すでに周知されていると思われますので詳細は省略しますが、今改正のポイントはエビの範囲が拡大されたことです。
〔これ迄〕 アレルギー表示の推奨対象であったエビの範囲から、「いせえび類」、「うちわえび類」、
「ざるがに類」が除かれていた。
〔改正後〕 これまで除外されていた「いせえび類」、「うちわえび類」、「ざるがに類」を含めた、エビ
と総称される全てが表示義務の対象となった。
※「おきあみ」などアミ類は、これまで同様、エビの範囲からは除外されています。また「かに」の範囲に変更はありません。
<留意事項>
推奨表示(特定原材料に準ずるもの)から義務表示に変更されたことによって、両物質(食品)のアレルギー表示の表記方法が変更されたわけではありません。したがって、現在エビ、カニのアレルギー表示をしている食品には、特に問題が生じませんが、表示がない商品については以下の点を確認する必要が生じます。
| [1] |
えび表示がないが、新たに範囲に加えられたイセエビ類が使用、又は複合原材料の一部に含まれていないか。 |
| [2] |
魚介エキス、しらす、ちりめんじゃこ、海藻類など、エビ、カニを捕食した小魚が混じっている可能性がある商品について、注意喚起表示は適正か。 |
なお、たんぱく加水分解物、魚醤、魚肉すり身、魚油、魚介エキスは(魚介類)と付記表示することで、えび・かにのアレルギー表示もカバーされるのは従来通り。
※厚労省の通知内容
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/hyouji/info/dl/080604-1a.pdf
また、アレルギー表示Q&A も改訂されています。
http://www.mhlw.go.jp/topics/0103/tp0329-2b.html#b2
調理冷凍食品の品質表示基準が改正されました。(農水省)
調理冷凍食品の品質表示基準が2008年6月3日改正告示されました。施行は7月3日で、猶予期間は1年間(2009年7月3日製造・輸入分まで)です。
| <定義に関する改正事項> |
| [1] |
冷凍エビ・いか・かきフライの定義のえび、いか、かきの範囲規定を廃止(これまで科名を付記し範囲を限定していた)。 |
| [2] |
エビフライの定義に、細切・すり身にしたものを除く旨を加えた。えびフライとして販売される中から、再形成品を除外するため。 |
| [3] |
コロッケ・しゅうまい・ハンバーグステーキ・ミートボール・フィッシュハンバーグ・フィッシュボールの原材料区分に「臓器及び可食部分」を追加し、これまで食肉に包含されていた肝臓や横隔膜などの内臓肉を食肉と明確に区分した。 |
| [4] |
ハンバーグステーキ・ミートボール・フィッシュハンバーグ・フィッシュボールの原材料の「結着補強剤」を削除し、新たに具を加えたものを追加。(改正前はソースのみ) |
| [5] |
「臓器及び可食部」に、新たな定義項目を設けて規定した。 |
| [6] |
冷凍餃子・焼売・春巻の形状の規定(制限)を廃止。例えば餃子では、「半円形状又は円形状に」を「半円形状、円形状等に」と変更。 |
| [7] |
冷凍めん類の中に調味料を添付したものが入ることを明確化した。 |
| <表示方法に関する事項> |
| [8] |
冷凍フライ類の名称表示規定の条文を整理・簡略化した。(内容変更はなし) |
| [9] |
ハンバーグステーキ・ミートボール・フィッシュハンバーグ・フイッシュボールにおいて、名称に食肉名等を併記。例えば冷凍ハンバーグステーキ(牛肉)と表示する場合の条件に、これまでの「魚肉・食肉及び肉様植たん」に加え「臓器及び可食部分」を使用していないことを追加した。 |
| [10] |
原材料名の表示規定の条文を整理し、原材料名の表示例に内臓肉の名称例として、豚肝臓・牛舌を追加した。 |
| [11] |
ハンバーグステーキ・ミートボール・フィッシュハンバーグ・フィッシュボールの原材料名表示方法に具の表示表方法を追加した。 |
| [12] |
冷凍めん類の原材料名表示で、調味料等の添付のない製品については、めん(小麦粉、××、・・・)のような括り表示でなく、めんを省いて直接「 小麦、××、・・」と記載して良いことを明記(但し書き規定として)。 |
| [13] |
ハンバーグ・ミートボール類で食肉・魚肉含有率表示が必要な食肉・魚肉使用量40%未満の算定において、ソース・具を除くことを明記した。 |
| [14] |
クリームコロッケと表示する場合の下限規定「クリームの含有率8%」を、「原材料に使用した乳・乳製品等の配合割合から算出した乳脂肪の含有率1.4%」に変更。(乳等省令クリームの成分規格の乳脂肪分18%以上から算出) |
| [15] |
衣の定義の「小麦、でん粉、脱脂粉乳、卵等を混ぜ合わせたもの」を「小麦粉又はでん粉若しくはこれらに脱脂粉乳、・・」に改めた。 |
<補足>
製品の多様化など市場実態、原料の種類や調達先の拡大を考慮し、形状規制や、原材料の種類の制限を撤廃し、また原材料としての食肉と内臓類の区分けを行ったもの。食肉、魚肉加工品などで、食肉、魚肉の範囲に肝臓や舌、その他内臓類を含めて表示しているものがないか、確認が必要になります。
新規のOIEのBSEリスクステータスの認定について(農水省)
第76回国際獣疫事務局(OIE)総会(5月25〜30日、於.パリ)で、新たなBSEステータスが認定されました
| ◎ |
無視できるリスク国(5):
フィンランド、アイスランド、ノルウエー、スェーデン、パラグアイ |
| ◎ |
管理されたリスク国(25):
オーストリア、ベルギー、キプロス、チェコ、デンマーク、エストニア、フランス、ドイツ、ギリシア、ハンガリー、アイルランド、イタリア、ラトビア、リトアニア、ルクセンブルグ、マルタ、オランダ、ポーランド、ポルトガル、スロバキニア、スロベニア、スペイン、英国、リヒテンシュタイン、メキシコ |
欧州におけるBSE問題(牛肉の輸出入制限)の実質収束です。
生産情報公表農産物等4日本農林規格の一部改正について(農水省)
| 1) |
生産情報公表農産物のJAS規格の一部改正(20日告示 施行6月19日)
定義の化学合成農薬から除外する農薬を、これまでの「フェロモン剤」に加え、有機JAS規格で使用が認められている農薬に拡大。
※除外農薬:
JAS法施行規則に基いて農林水産大臣が指定した硫黄くん煙剤、・・・食酢、性フェロモン剤、 ・・・・銅水和剤 など18剤。
<補足>
生産情報JAS規格は、化学合成・特定農薬にかかわらず、使用農薬全ての種類・使用回数の公表を規定しているが、化学合成農薬の節減割合は任意の公表事項。改正は節減割合(減農薬の旨)を公表する場合のカウント対象から、有機JASで使用の認められた化学合成農薬全体を除外し、有機JAS規格、特別栽培農産物ガイドラインと整合させたもの。除外対象の農薬であっても使用した場合は、従来通りの使用情報の公表が必要。 |
| 2) |
水産物缶詰及び水産物瓶詰のJAS規格(20日告示 施行6月19日)
定義の整理、調味料(添加物)の追加など。 |
| 3) |
異性化液糖及び砂糖混合異性化液糖のJAS規格(20日告示 施行6月19日)
水分の廃止、灰分、pH範囲の一部修正、試験方法変更など。 |
| 4) |
農産物缶詰及び農産物瓶詰め(21日告示 施行6月20日)
定義の整理、充てん液定義の削除、pH、添加物リストの一部修正など。 |
農産物缶詰及び瓶詰の品質表示基準の改正について(6月20日告示 農水省)
農産物缶詰及び農産物瓶詰のJAS規格の改正と整合させるため、条文整理で実質的内容変更なし。(内容を分かり易くしたもの)
体細胞クローン家畜由来食品に関する説明会(出席報告)
5月19日厚労省・農水省共催で体細胞クローン家畜に関する説明会が開催されました。厚労省は先般4月1日「クローン牛・豚及びその後代家畜由来食品の安全性」の評価を食品安全委員会に依頼しましたが、この件に関する社会的関心が高いことから、併せて国民との意見交換(説明)会が東京、大阪で開催されたものです。概要を紹介します。
※講演者:厚労省の鈴木バイオ専門官、(独)畜産草研究所渡邊上席研究員,熊谷東大教授 。講演後、両省担当官を交え会場と質疑応答。
<行政・学識者サイドの説明より>
| ◎ |
体細胞クローン家畜(牛の例):
雌牛より未受精卵子を採取して核を含む一部細胞質を取り除き、他の牛個体(ドナー)から採取した筋肉・皮膚の細胞などで、予め培養していたものを入れて電気ショックで融合させる(初期化)。融合細胞を約7日間培養し、別の雌牛の子宮に移植(妊娠・受胎)。 |
| ◎ |
後代家畜:
クローン家畜の子孫。ハイブリッドと異なり、完全な繁殖能力を有するので、通常牛、又はクローン牛間の交配による繁殖が可能。 |
| ◎ |
安全性:
これまでに国内各研究機関の試験で安全性が確認され、また本年1月に米国のFDAが安全性の確認報告(通常繁殖家畜と安全性が同等)し、EUにおいてもEFSAが同様の意見書案を公表。クローン牛の生理機能・乳肉の成分などは通常牛の個体間差の範囲内に収まっている。 |
| ◎ |
食品安全委員会へ評価依頼の背景:
日本、欧米ともクローン家畜は政府により出荷規制(自粛指導、審査事案)され流通実態はないが、食品として今後流通する可能性があること。評価に足る量の資料文献収集ができたことからで、外国からの要請など一切ない。(質疑応答) |
| ◎ |
外国から輸入の可能性:
安全性評価により米国政府は後代牛由来食品の出荷自粛要請を解除。最短9月程度で出回る可能性は考えられる。
|
| ◎ |
クローン牛の生産コスト:
100頭に移植して妊娠は20%〜50%、出生は5〜10頭で残りは死産。現行技術では1頭当たりのコストが数百万以上のため、採算性はないが、優れた固体形質の保存の手段として生産し、その子孫(後代牛)を通常繁殖させることで実用性が高まる。(質疑応答) |
<消費者サイドの質問から>
消費者連連盟、コープ連合の中央組織参加者の評価の考え方・文献の範囲などに関する意見表明や要望はいつも通りであったが、他に主婦連(全国、地域)や各地方の消費者組織の女性参加者から、動物福祉・倫理の観点から強い疑念の表明があり、クローン牛が仮に流通するようになった場合、選択(忌避)出来るように、クローン表示の法律による義務付けを強く要望する旨の意見が出された。
<補足>
クローン牛は通常牛より寿命が短く病弱等の統計データは、死産や育種技術上の問題が原因とのこと。生物学的には生殖細胞の核の融合で作られる新生体設計図(DNA対)を、既存細胞核の設計図で置き換えるもので、遺伝子組換えとは異なる人工交配の一手法(無性生殖)。誕生したクローン牛の個体は、有性繁殖牛と何ら変りなく、その産物のみが特異的に危険ということは生物学的に考えられない、ということへの理解は深まったようであるが、消費者、特に主婦層の嫌悪感は相当強いように感じた。何世代後までがクローン後代か、その由来食肉や原材料として使用した場合の表示の方法などは、まだ先の課題ではあるが、畜肉類を輸入する限り、将来的この問題への対応(考え方構築)は避けられない。
消費者行政推進会議取りまとめ素案について(首相官邸)
報道されている次年度消費者庁設立に向けた「消費者推進会議の第7回会合(5月21日)」の取りまとめ素案の全文が、内閣官房のHPに公開されています。商品の消費時点での問題発生・消費者対応から遡った行政集中化のスタンスが強く、良質な消費者サービスの提供と一体であるべきモノ作りやサービスの視点・技術的側面の分析が乏しいまま、権限(法律)の移管論議が展開されておりますが、詳細は下記にてご確認ください。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/shouhisha/dai7/7gijisidai.html
「食品からのカドミウム摂取の現状の安全性に関する評価書(案)が取りまとめられました。(食品安全委員会 5月29日)
食品安全委員会は5月29日、食品から摂取されるカドミウムの健康影響評価書(案)を取りまとめ、パブリックコメントを開始しました。平成5年に厚労省より意見を求められ、専門部会で5年間にわたり審議されてきたものです。カドミウムの性状から自然界の分布、食品への移行、摂取(暴露)量、体内挙動、毒性、国際評価・基準等を基に、健康への影響を医学的、疫学的に分析評価し、日本人の平均暴露量を推定し、耐容週間摂取量(人が一生涯摂っても安全な量を体重1s当りの1週間摂取量で示したもの)を定めたものです。詳細は食品安全委員会のHPにあります。
<概容>
| ◎ |
日本人のカドミウム摂取分布 (体重50s当たり週間摂取量):
平均値 3.47μg、中央値2.93μg、範囲0・67〜9.14μg |
| ◎ |
食品群からの摂取割合(%):
米46.5、魚介12.8、野菜海藻12.4、雑穀・芋12.4、他 |
| ◎ |
米の中のカドミウム:
日本産は0.06ppmで、ベネズエラ(0.2ppm)、中国(0.08)を除く諸外国(0.01〜0.04)より高い傾向にある。
|
| ◎ |
カドミウムの人体への影響:
体内に取り込まれたカドミウムの1/4は肝臓・筋肉、1/3が腎臓に蓄積される。脳・脂肪組織・骨への蓄積は極小。尿からの排出は0.01%と極めてわずか(尿回路で再吸収される)で、長期的な蓄積による健康への影響は腎障害。イタイイタイ病(骨障害)は特殊例。 |
| ◎ |
国際基準(ppm)
精米0.4、穀類、芋、根菜、茎採0.05、その他野菜0.05、海産二枚貝2、頭足類(内臓除去品)2。(海産物、特に貝類やイカ・タコ類の内臓部にカドミウムの蓄積が多い) |
| ◎ |
日本の基準(食品衛生法):
玄米1.0ppm(精白米は0.9ppm未満)と玄米のみが規制の対象。日本人のカドミウムの暴露源の約50%は米。 |
| <評価内容> |
| ・ |
米の消費量の低下に相まって、年々カドミウムの暴露量(摂取量)が減少。疫学調査で、1週間当たり14.4μg(体重中50kg当たり)以下の摂取で健康障害(尿細管機能障害)は認められず、総合的な判断より耐容週間摂取量を 7μg/kg 体重/週に設定。 |
| ・ |
一般的日本人で食品からのカドミウム摂取で健康障害を起こす可能性は低いが、今後、環境由来など新たな知見が蓄積された場合は見直す。 |
| <備考> |
| ・ |
日本の食品中のカドミウム規制を行う場合の土台となる基準値の策定で、個別食品のカドミウム汚染・含有量を規制するものではありません。 |